真の教育、学びを考える熱きドラマ小説
高橋一生と永作博美主演で、NHKでドラマ化もされている『みかづき』という小説のご紹介です
あらすじ
昭和36年〜平成20年に渡る長編で、親子孫の三世代に渡って、教育と関わっていく物語。
国の施策により、学力競争が激しくなる中、ついていけない子どもたちが増えていきます
そんな子どもたちを助けようとする熱い女である千明と、おっとりした男である吾郎が小さな塾を始めるところからスタート。
もともと吾郎は教師ではないものの、学校で事務仕事をしていて、勉強が苦手な子たちに用務員室で勉強を教えてあげていました。
その教え方に才能を見出した千明が塾のスタートに巻き込むというところから物語は始まります。
時代の流れとともに、塾をどんどん大きくしていくのですが、、、
面白いところ
借り物ではない自分なりの信念をもった登場人物たちの葛藤を通して、
真の知力=生きる力を得る学びとは何か?
を考えさせられるところ。
物語の基盤となるのが、『教育』です
公の学校、文科省、進学塾や学習塾、親、いろんな視点から教育について、各人物が考えています。ぶつかり合うことも多いです。
特に主人公である塾経営を始めた二人には、ついていけない子どもを助けたいといった大目的がありました。
しかもそれだけではなく、子ども自身が自分の頭で考えぬくことができるよう真の知力=生きる力を獲得させたいという高い志のもと塾経営が始まるのです。
しかし、時代の流れ、事業のスケールアップに伴い事業継続を意識し始めると、子どものことを考えずに、利益を追い求めてしまっているようになってきます。
猪突猛進の経営を進める千明、子どものことを第一に考える吾郎、この二人もぶつかり合い、葛藤することになります。
心に残った言葉
今は万事小器用な人間がウケる時代かもしれんが、要領のいいタイプというのは、その場その場の小さな成功に満足しがちなきらいもある。時間をかけて大きな仕事を成すのは、要領よりもむしろ粘りに長けたタイプだ。
教育とは子どもをコントロールするためにあるんじゃない。不条理に抗う力、たやすくコントロールされないための力を授ける為にあるのだ。
これら二つの言葉には、本当に生きるために必要な知力を得る姿勢について凝縮されてると思います。
まず知力はそんな簡単に手に入らない。じっくりと問題に向き合い、身につけていく姿勢が必要です。
そして知力を得る目的は、やはり自由であるため、問題を乗り越えるためだと僕も思います。
偏差値、受験、、、中高くらいのの勉強って考える力のためじゃなくて、受かればそれでいいっていう勉強が多いと思うので、なかなか真の知力身につけるって難しいですよね。
生きることの役に立てばいいんじゃなくて、受験合格に役立てばいいのですってなりがちです。受験まで時間も限られてるしね。。。
僕は大学に入ってから自分の頭で考えて、学びを血肉にしていく大切さや面白さに気づきましたが、高校の時はそれどころじゃなかったですね。
というか、そもそも中高に限らず、学びの本当の意義について、理解といわずともしっかりと考えられてる大人ってどれくらいいるんでしょう。。。??
今だからこそ気づく学びの面白さ、意義について、勉強や真の知力から遠ざかってる人に伝える、もしくら一緒に考える機会を設けられれば、、、とちょっぴり思いました。
やはり学びの意味は、
流されずに自由に生きていくための力=真の知力を手に入れるためだと僕は思います。
そんな風に思わせてくれた、森絵都さんのみかづき、とても有意義な読書タイムでした!
こんな人におすすめ
教育に興味あり!
生きる力、知力って何?!と考えたい。
自分のやりたいことをやり抜く人の生き様をみてみたい方。
読み応えのある長編をお望みの方。
みかづきのタイトルの意味を知りたい方。